2017年8月6日「AX アックス」を読みました。
感想 <AX アックス>
世の中の小説には「伊坂幸太郎さん」というジャンルがあると、常日頃から思っています。
「AX アックス」も、まさにそのジャンルのお話で、うれしくなりました。
ユーモア・名言・会話の楽しさあり、個性的な人物の登場に、伏線回収のわくわくがあり、感動のラストを迎える、などなど。楽しさをあげたらキリがないです。
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く殺し屋シリーズということもあり、あの人、この人の名前が出てくるところも、楽しめるポイントでした。
業界内では一目置かれるほどの腕前の殺し屋なんだもの、恐いものなんてないはずでしょって思うのに、妻が怖いだなんて。
あらまあ、どういうことでしょ。
しかも、その妻は、「モダンタイムス」に出てくる、まさに恐妻の佳代子とは、全然違います。
ごく普通の妻なのに、その気持ちを深読みする兜が面白くて、笑えます。
温かさのある場所は、納戸でした。兜の「自分の部屋」という名の納戸です。
その納戸の奥の紙袋に、兜は大事なものを隠していました。
画用紙と大学ノートとチラシと鍵です。
そのどれもが、最後はすべて家族愛でつながるという、
「アイネクライネナハトムジーク」のような展開に、心熱くなりました。
あらすじ <AX アックス>
「AX」
「小説 野生時代」2012年1月号
「BEE」
「ほっこりミステリー」2014年3月
「Crayon」
「小説 野生時代」2014年2月号
「EXIT」
書き下ろし
「FINE」
書き下ろし
【KADOKAWA】AX アックス 特設ページ
【カドブン】伊坂幸太郎最新刊「AX」刊行記念インタビュー
【カドブン】伊坂幸太郎への十の質問
----------------------------------------------------------------
文房具メーカーに勤める営業社員の三宅には、もうひとつの顔があります。
物騒な業界で仕事をする、殺し屋です。
この業界では腕が立ち、数々の仕事をこなしてきた兜ですが、息子が生まれると、業界から抜け出したいと考え始めました。
仲介役の男に「辞めたい」と言うのですが「そのためにはお金が必要です」と言われ、そのお金を稼ぐために、また仕事をするという不本意な状況が続きます。
業界内では一目置かれている兜が、家庭では妻を恐れる恐妻家なのです。
とはいえ、妻は、暴力をふるったり、暴言を吐いたりする怖い妻ではありません。
ごく普通の妻なのですが、兜は妻の気持ちを深読みし、気にしすぎる程に気にします。
「AX」「BEE」「Crayon」では、殺し屋と恐妻家というギャップのユニークさが出ています。
「EXIT」「FINE」になると、息子・克己の活躍もあり、まさかの展開となります。
「家族を守らなければいけない」という力強さと愛を感じるお話です。
旧「紙飛行機文庫」に書いた「AX アックス」の感想はこちらです。
----------------------------------------------------------------
単行本 AX アックス
出版社 KADOKAWA
発売日 2017年7月28日
文庫本 AX アックス (角川文庫)
出版社 角川文庫
発売日 2020年2月21日