2012年6月23日「夜の国のクーパー」を読みました。
感想 <夜の国のクーパー>
1回読んでみて、すべてが明らかになった後、再度読んでみる。
その再読で、味が出てくるお話だと思った。
伊坂さんお得意の「伏線の回収劇」
わたしは、残念ながら、最初は、その伏線すらわからなかった。
どの言葉が伏線になっているのか、それに気がつかないまま、読み進んでいった。
後半で、一気に、すべてが明らかにされていく場面になって、初めて(ああ、あれが、もしかして伏線になっていたのか?)と、気がつくありさまだった。
だから、最後まで読み終わった後、すぐまた、最初から読み返した。
おもしろい!
ああ、なるほど。ここに、こんな伏線があるじゃない!
あら、ここにも、こんなヒントがあるじゃない!
うん、うん。そういうことかー!
最初に読んだ時は、登場人物の名前が、冠人、頑爺、号豪、幼陽、枇枇、などで、まるで何千年も前の外国の話かと思える。
かと思えば、登場する猫の名前は、トムだのギャロだの、カタカナの名前だ。
そして、妻に浮気をされた男は、どう見ても現代の男の話だ。
いったい、この話の時代はどうなっているのか?場所はどこなのか?
それはもう、空想の世界でしかなかった。
このお話の「ジャンルは?」と訊かれたら、
それは「伊坂幸太郎というジャンル」と答えるしかないように思う。
あらすじ <夜の国のクーパー>
「僕」という猫、「私」という男、「ぼく」という兵士、この3人が、それぞれに語る形で、話は進んでいく。
その国には、昔から言い伝えがあった。「クーパーという樹」のことだ。
その樹は、一年に一度、まるで虫のように、サナギから成虫になる。
そして、暴れ出すのだと。
だから、そのクーパーを退治するために、毎年、クーパーの兵士が選ばれる。
あるころから、そのクーパーは現われなくなった。
そして、今。
その国は、鉄国という国との戦争に敗れた。そして、鉄国に支配されようとしている。
そんな状況の中で、猫のトムは、猫と会話ができる人間に出会う。
そして国を守る手助けをしてほしいと頼むのだった。
旧「紙飛行機文庫」に書いた「夜の国のクーパー」の感想はこちらです。
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単行本 <夜の国のクーパー>
出版社 東京創元社
発売日 2012年5月30日
文庫本 <夜の国のクーパー>
出版社 東京創元社
発売日 2015年3月20日
文庫本 <夜の国のクーパー>
出版社 東京創元社
発売日 2022年1月28日