2009年3月28日「フィッシュストーリー」を読みました。
感想 <フィッシュストーリー>
映画を見てから、この本を読んだ。
読むまで、短編だということを知らなかった。
今まで見た映画の場合、「よくぞ、長編を2時間にまとめてくれた」と思ったけど、今回は、逆に、「よくぞ、この短編を上手に話をふくらませてくれたな」と感じた。
映画と原作では、多少、設定や人物に違いはあるけど全然、違和感がない。
伊坂さんの小説には、よくミュージックが出てくる。
この小説も、「ミュージック」が大事な柱のひとつだと思う。
わたしは、映画を観た後で、この小説を読んだため、読みながら、音が聴こえてきた。
もし、映画を観る前に読んでいたなら、わたしは、どんなミュージックを想像しただろう。
あらすじ <フィッシュストーリー>
正義の味方とミュージックの話
「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛(どうもう)さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない」
という小説の一説があるという。
この一説を歌詞にしたバンドがいた。
そして、そのレコードには、どういうわけか無音の部分がある。
その無音の部分のせいで、正義感を発揮する男がいた。
そして、その男は、息子を正義の味方に育て上げた。
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感想 <動物園のエンジン>
「動物園に行こう。休日をライオンと」
動物園のエンジンである永沢が、ほんとに、彼が動物好きなことが、動物たちにもわかるのだろう。
彼がいると、生き生きとしてくる動物たち。
そんな動物と一緒に休日を過ごしてほしいと思う永沢。
動物園に行くと楽しくなるような気がしてくる。
あらすじ <動物園のエンジン>
彼がいると動物園にエンジンがかかったようになる
元動物園の職員・永沢は、夜の動物園で、シンリンオオカミの檻の前で寝そべっている。
そんな彼を、恩田は「彼は動物園のエンジンだ」と言う。
その動物園のエンジンなる永沢の奇妙な行動の理由を探る、憶測ゲームを始める。
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感想 <サクリファイス>
伊坂さんファンの中には、「黒澤ファン」も多いと思う。
その黒澤がメインで登場する「サクリファイス」は、それだけでもわくわくする。
あらすじ <サクリファイス>
小暮村には「こもり様」という風習がある。
「サクリファイス」とは、生贄(いけにえ)という意味だ。
その生贄を差し出す風習があったという小暮村へ向かう黒澤。
探偵・黒澤が依頼された人探し、「山田」という男がどうやら、その村にいるらしい。
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感想 <ポテチ>
この本は、4編の短編が収められているが、その中の「ポテチ」も、わたし好みの小説だ。
ビルから飛び降り自殺を図ろうとする女に対して、「キリンに乗って俺がそっちへ行く。見たいだろ?ビルの屋上にキリンだよ。俺なら見てから死ぬね」 (p179)
というシーンがある。
いいなー、こういうの。
笑ってしまうセリフだけど、なんか熱い気持ちがこみあげる。
ポテチ <あらすじ>
見習泥棒今村と母親との愛の話。
ポテチ・・・ポテトチップスのことだ。
大西は、「コンソメ味」のポテチを買ってきてと頼んだのに、今村は「塩味」のポテチを大西に渡した。
そして、大西は言った。
「塩味も食べてみたら意外においしいから」
「間違えてもらってかえって良かったかも」
今村は、無言で泣きじゃくった。
この部分だけを読んだ時は、なぜ、今村が泣きじゃくるのかわからない。
でも、最後まで読むと、このシーンが改めてジーンとくる。
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単行本 フィッシュストーリー
出版社 新潮社
発売日 2007年01月31日
文庫本 フィッシュストーリー (新潮文庫)
出版社 新潮社(新潮文庫)
発売日 2009年11月28日