「ペッパーズ・ゴースト」を読みました。
2021年10月30日 感想とあらすじを書きました。
ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
感想 <ペッパーズ・ゴースト> 【タイトル編】
壇先生が、「ペッパーズ・ゴースト」という言葉を思い出す場面があります。
--------------------------------------
照明とガラスを使い、
別の場所に存在する物を
観客の前に映し出す手法だ。
(P216)
--------------------------------------
目の前に存在しているように見えるのに、実は存在していない。
逆に、別の場所に存在しているのに、目の前に存在しているように見える。
というペッパーズ・ゴーストは、劇場や映像技術のひとつだそうです。
実像と幽霊という劇場での視覚トリックが、現実と小説という言葉トリックになったのが、この「ペッパーズ・ゴースト」でしょうか。
この作品を読む前は、タイトルの意味がわからなかったのですが、読み進めると徐々にそれが理解でき、さらに最後まで読むと、なるほど、そういうことか!と、タイトルの素晴らしさを感じました。
伊坂幸太郎様
おもしろいお話をありがとうございました。
感想 <ペッパーズ・ゴースト> 【登場人物編】
わくわくしながら本を開くと、「登場人物表」から始まりました。
これはありがたい!
登場人物が増えると、名前が覚えられなくなるので、その場合はここへ戻ればいいのねと、スタートからうれしくなるサービスに、にんまりです。
まずは、登場人物の名前を確認するところから始まります。
おやまあ、なんとユニークな名前ばかりなのでしょう。
「里見八賢」は「里見八犬伝」のようだし。
「マイク育馬」は、まるで上から読んでも下から読んで「マイクマイク」のようで。
「罰森罰太郎」は、いかにも罰を与えられそうな名前だし。
悲観的な性格という「ロシアンブル」は、ブルブル震えていそうで。
楽観的な性格という「アメショー」は、「しょうがないさ」と言いそうで。
最初の登場人物表によって、伊坂さんの読者サービスに感謝することから始まりました。
ところが、これが単なる読者サービスではないことがわかるのです。
そう、これ自体がすでに伏線だったのです。
「(小説には)登場人物表を入れるべきだよ」と、伏線が回収されたじゃないですか。(P338)
お見事!またまた伊坂幸太郎さんに参りました。
感想 <ペッパーズ・ゴースト> 【全部乗せ編】
伊坂幸太郎さんは「ペッパーズ・ゴースト」の特設サイトでのインタビューで、こうおっしゃっています。
--------------------------------------------------------------------
得意パターン全部乗せで(笑)、
前向きな気持ちで読み終えられる娯楽小説になりました。
--------------------------------------------------------------------
「得意パターン全部乗せ」とありますが、読者サービスも全部乗せだと思いました。
今までに読んだ伊坂さんの作品を連想させる言葉が、あちこちに出てきます。
「緑のデミオ」(P289)は「ガソリン生活」を。
「たまたま会った夫婦の夫の方が「考えろ」が口癖の兄がいた(P132)」というのは「魔王」だわ、とニヤリとしてしまいました。
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(P31)
『村上レンサ球菌』の【キャプテンサンダーボルト】
「かっ、むっ、ちっ」(P148)
『ほっ、むっ、ちっ』の【マリアビートル】の七尾。
「嘘をつく力が試される」(P173)
『勇気を試される』の【PK】
「孤独とやりきれなさ」(P255)
『僕の孤独が魚だったら』の【フィッシュストーリー】
「誤注文」(P370)
『誤発注』の【SOSの猿】
「もし、わたしの喋ったことが本当なら、ですけど」(P375)
『僕がしゃべることには嘘や省略がたくさんあります』と言った
【フーガはユーガ】のフーガ
「ひっくり返したい」(P380)
『先入観をひっくり返すんだ』の【逆ソクラテス】
その他、いろいろありました。
読者サービスも全部乗せをありがとうございました。
●「ペッパーズ・ゴースト」好きな言葉を「365日 本棚のしおり」に書きました
あらすじ <ペッパーズ・ゴースト>
中学校の国語教師である壇千郷先生は、飛沫感染によって、他人の明日が少しだけ見えるという、特殊な能力を持っています。
その能力によって、ある男子生徒の未来を見たことから、壇先生は事件に巻き込まれていきます。
また、壇先生の中学校の生徒である布藤鞠子は、猫を虐待した人たちに復讐をする「ネコジゴハンター」を名乗る二人組の小説を書き、壇先生にその原稿を渡します。
この二つの話が平行して進んでいきます。
話が進むにつれて、壇先生の現実と、布藤鞠子の小説との境目が、いつの間にか曖昧になるのです。
現実と小説が自然と融合するという不思議な世界へ連れて行ってもらえるお話です。
●「ペッパーズ・ゴースト」のポストカードを作りました
● 朝日新聞出版様の「ペッパーズ・ゴースト」特設サイトはこちらです。
紙飛行機ドットコム 更新情報 <ペッパーズ・ゴースト>
● 2021年10月24日
365日 本棚のしおり
「ペッパーズ・ゴーストの好きな言葉を書きました」
● 2021年10月27日
テガミスト*Diary
「インタビューラッシュです」
(女性セブン)(アエラ)
● 2021年10月25日
テガミスト*Diary
「「ゴジだっちゃ!」のブログを読みました 」
(ペッパーズ・ゴースト)
● 2021年10月21日
テガミスト*Diary
「著者のインタビューを読みました」
(サンデー毎日)
● 2021年10月17日
テガミスト*Diary
「興味の連鎖反応」
(『ペッパーズ・ゴースト』『フーガはユーガ』『砂漠』)
● 2021年10月12日
テガミスト*Diary
「午前中のスターバックス」
(週刊現代)
● 2021年10月7日
テガミスト*Diary
「『ペッパーズ・ゴースト』のインタビューを読みました」
(日経エンタテイメント!)
● 2021年10月3日
テガミスト*Diary
「387ページを読みました」
(ペッパーズ・ゴースト)
● 2021年10月1日
テガミスト*Diary
「読書の秋は「ペッパーズ・ゴースト」から始まります」
● 2021年9月30日
テガミスト*Diary
「新刊と新しい表紙」
● 2021年9月7日
テガミスト*Diary
「特別な「ガソリン生活」です」
-----------------------------------------------------------------
単行本 <ペッパーズ・ゴースト>
出版社 朝日新聞出版
発売日 2021年10月1日
文庫本 <ペッパーズ・ゴースト>
ペッパーズ・ゴースト 文庫化はまだです
出版社
発売日
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------