2019年も最終月となりました。
今年も、ブログ「本棚のしおり」において、伊坂さんの名言を書き留めてきました。
「本棚のしおり」を始めた2015年の年末に「俺の2015年」というタイトルで、二次創作文を作りました。
伊坂さんの名言と本のタイトルと絡めたものです。
それから4年が経った2019年12月。
今度は「2019年 メリークリスマス」というタイトルで作ってみました。
また、伊坂幸太郎さんの名言による、日めくりカレンダーも作りました。
(ブログ「テガミスト*Diary」に載せています)
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2019年 メリークリスマス
2019年の新年を迎えた。
神様のレシピに書かれた未来は、明るいものでありますようにと祈る。
豊潤な人生(ラッシュライフ)を送りたいと思う。
でも、人生については、アマチュアのわたしには難しい。
せめて、陽気に地球で暮らすためには、魂のランクを下げないように気をつけよう。
重力のように引き寄せられる気休めの美味い料理には、人を救う力があるに違いない。
食事の時間を大切にして、前向きに生きていれば、心豊かになりそうだ。
もうすぐ生まれてくる子供のためにも、気が変わらないうちに行動しなくてはいけないと思った。まずは、臆病をコインロッカーに閉じ込めてみよう。
コインロッカーのそばを通りかかった子供たち(チルドレン)が歌を口ずさんでおり、その歌が、緊迫した空気を和らげてくれた。
バッタ(グラスホッパー)と戯れる、見ず知らずの子供たちに「ありがとう」と礼を言った。礼儀はきっと人生を有意義にするはずだから。
無邪気な子供たちと自分を比べ、わたしは、年を取っても、大して成長していないと自覚する。これではきっと、死神も寄ってこないだろうと勝手に決めつける。
それでも、もし死神に会うことがあれば、そのときの覚悟はできているのか?と自分の中にいる魔王に問いかけてみる。
そうね、死神と出会うことがあれば、それも思い出の一つになるかしら。
砂漠のような暮らしの中にも、思い出は自然とできるはず。
思い出作りに躍起になるのはやめよう。
黙々と、不器用に、でも、やることをやっていれば、終末には、陽気な思い出ばかりのはずだもの。
日常を陽気に過ごすためのコミュニケーションは、人の話を聞くことから始まるのよね。
だけど、ホラ吹き(フィッシュストーリー)の言葉には耳を貸したくない。
「職業や肩書が大事」と言うホラ吹きに対して、「大事なのは準備よ」と、言い返した。
言い返す勇気を持てたことに笑みがこぼれた。笑えれば何かが充電できるはずと、まどろみ(スランバー)のゴールデンタイムを過ごす。
今どき(モダンタイムス)のモダン建築とは程遠い実家に、勇気は忘れてきたはずだったのにね。
勇気の忘れ物に、SOSを発信したときのことだ。父は、その忘れ物は、うっかりミスだと言った。規律違反には厳格にならなくてはいけないが、うっかりミスには寛大でよいという言葉に救われた。
父親(ファーザー)になったばかりの夫と共に、家で食事をした。
「ファミリーレストランって名前がいいよなあ。今夜はここがファミリーレストランだ」と、夫がはしゃぐ。
子供時代とバイバイできていない夫が嘆く。
「大人にはサンタクロースが来ないなんて、誰が決めたんだよ」
わたしは、マリア様のような笑顔で、「幼稚園児が知っていても、大人が知らないことはあるのよ。この娘が幼稚園児になったら聞くといいわ」と、生まれて間もない娘の顔を見ながら答えた。
その答えを知るのが怖いという夫に、「その時はきっと、まるでサッカーのPKのように、勇気の量を試されるに違いないわ」と返した。
さらに夫がつぶやいた。「夜の国に活躍するサンタクロースは、きっと自分の家に帰るときが一番いいのだろうな」と。
それにしても、みんなが待っているサンタクロースはキングだね。
たとえサンタクロースが来なくても、生き方を大事にすれば、人生の残りは全部バケーションよ。
暗い道を不安のまま行くよりも、自分のライトを点けて、自分の道を行くべきね。
そのためには、自分にガソリンを入れなきゃ。
さあ、気休めかもしれないけど、美味しい料理をいっぱい食べましょう。
ほら、サンタクロースも浮力を発揮して空中に浮かび、トナカイを走らせているわ。
大変さのない仕事は、仕事とは呼べないけど、サンタクロースの仕事も大変ね。
サンタクロースは、クリスマスソングの協奏曲を聞くと、きっと誰かの役に立ちたい病が出るのよ。
親になるのに資格試験がない、というのは恐ろしいことだけど、サンタクロースになるには資格試験はあるのかしらと、アイネクライネナハトムジークの音楽を聴きながら疑問を口にした。
もしかしたら、サンタクロースは、資格試験から逃れるために、火星と地球とサンタの国をバランスよく行き来しているのかもしれないわね。
ねえ、聞いてる? 大事なのは、相手の話を聞くことよ。
三つ数えたら大人にはサンタクロースが来ない理由を言ってみて。
ワン・ツー・スリー!
「えっ? 問い合わせ窓口、どこにあるんですか」と、それまで、潜水艦(サブマリン)のように黙っていた夫が聞いてくる。
その夫が突然、「家族を守らなくてはいけないのだ!」と、切れ味のいいナタ(アックス)のように、スパっと言い切ったのには驚いた。
さらに夫は、白うさぎ(ホワイトラビット)のような寝顔の赤ちゃん娘に向かって語りかけた。「人の心は、海や空よりも壮大なんだよ」
君のために、想定外の外からやってくる敵を、俺は優雅(ユーガ)にやっつけてやるよ。
モンスターを倒すためには、相手のことを知ろうとすることは大事なことだ。
たとえクジラのような大きな敵がやってきても、家族という味方がいれば心強いさ。
人間を動かすのは、理屈や論理よりも、感情だ。
あのね。
神様の書いた未来のレシピって、実はサンタクロースが持ってるんだって。
神様はね、毎年、そのレシピを更新するらしいよ。
だけど、一度レシピを受け取ってしまったら、更新が止まるんだって。
変更不可なんだよ。
もし、クリスマスにサンタクロースから、レシピのプレゼントを受け取ったら、どうなると思う?
残りの人生、楽しみが減っちゃうでしょ。
だから、わたしが決めたんだよ。大人にはサンタクロースが来ないって。
だって、あなたと一緒に、勇気ある人生を送って、陽気な思い出を作りたいんだもの。
メリークリスマス!
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2019年12月15日 「テガミスト*Diary」にて
「二次創作文への質問とお返事」を書きました。