2019年8月7日「クジラアタマの王様」を読みました。
感想 <クジラアタマの王様>
やっぱり、伊坂幸太郎さんは、読者を楽しませてくれますねえ。
新刊が出る度にそう思うのは、想像したことのないモノとの出会いであったり、ファンをニヤリとさせてくれるサービスであったりします。
「クジラアタマの王様」では、セリフのないコミックーパートがあるという点が、新しい出会いでした。今までに、そういう本を見たことがありません。なんと斬新な小説でしょう。
伊坂幸太郎さんの小説によくある、伏線の回収が、このコミックパートでも使われているように思いました。最初は、絵の意味がよくわからなくても、読み進めていくうちに、ああ、そういうことなのね、と。あるいは逆に、小説に書かれていたことが、後に絵に描かれていて、ああ、なるほど、こういうことなのね、と。
面白い仕掛けのある本でした。
第一章から第三章までは「スマートフォン」、第四章になると「パスカ」が使われています。第四章は「スピンモンスター」に描かれていた近未来なのかもしれません。
また、「カタツムリの活躍する絵本」(P236) というのは、せつみやこさんが書いた「アイムマイマイ」でしょうかねえ。
こうした、他作品との出会いを楽しませてくれるところも大好きです。
●「クジラアタマの王様」好きな言葉を「本棚のしおり」に書きました
あらすじ <クジラアタマの王様>
お客様からのクレーム電話から始まり、謝罪記者会見へと発展する製菓会社。その会社の広報部員である岸は、次々とトラブルに見舞われます。
岸は、人気ダンスグループのメンバーである小沢ヒジリ、都議会議員の池野内征爾と出会います。彼らは言うのです。「3人は奇妙な夢でつながっている」その夢の中には、『ハシビロコウ』が登場するのだと。
現実と夢の世界が交錯する物語です。
また、小説とセリフの無いコミックが交錯する、ユニークな仕掛けも楽しめます。
「クジラアタマの王様」朝日新聞社「好書好日」インタビューはこちらです。
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単行本 クジラアタマの王様
出版社 NHK出版
発売日 2019年7月9日
文庫本 クジラアタマの王様 (新潮文庫)
出版社 新潮社
発売日 2022年6月27日
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