紙飛行機文庫 <紙飛行機ドットコム>

伊坂幸太郎さんの作品に惹かれて、伊坂幸太郎さんのファンになりました。伊坂幸太郎さんの、最新刊から文庫本まで読み、感想やあらすじなどを書いています。

残り全部バケーション <伊坂幸太郎さん>

2012年12月12日「残り全部バケーション」を読みました。

 感想 <残り全部バケーション>

いいお話だった。それに尽きる。
読み終わった時、わたしは、ニヤリとしている自分がおかしかった。

単行本 「残り全部バケーション」
この本は、今までに伊坂さんがすでに発表している短編4作と、新たに書きおろされた短編1作の、合わせて5編から成っている。
すでに発表されている4編に、伊坂さんが加筆修正を施して、各話がうまく絡むようにして、連作長編小説に仕上げているらしい。

わたしは、すでに4編は読んでいた。
だから、加筆修正を施したとは言え、その4編については再読のつもりぐらいだった。
そして、最後の1編に期待をしていた。

ところが、さすが伊坂さん!
再読のつもりで読み始めた、最初の「残り全部バケーション」で、いきなり「これは!」と、気持ちが高鳴った。

だって、「PHS」が出てくるんだもん。
ここは、別に「PHS」である必要はないんじゃない? ケイタイでいいじゃない。
(*ちなみに、すでに発表されている、元の短編では、「携帯電話」でした。)
 
3章目の「検問」。
ここでも「これは!」と思う。
ケイタイでいいじゃないのっていう場面で、わざわざ「スマートフォン」になっている。
(*ちなみに、すでに発表されている、元の短編では、「携帯電話」でした。)

PHSにケイタイにスマホ。使い捨てカメラにデジカメに動画。
やたらとデジタル製品が出てくる。これって、きっとポイントよね。

と、予想したり、期待したり・・・と読み進める。

おおおおおぉ!
こう来るか! なんて素敵なお話なんでしょ。
余韻がある終わり方も、その余韻は期待の思いでいっぱいになる。
いや、絶対にそうだ!と思ってしまう、このラスト。
やっぱり、ニヤリとしてしまう。

 

<あらすじ <残り全部バケーション>

当たり屋や脅迫など、裏の仕事をしている溝口と岡田のシリーズ。

第一章 「残り全部バケーション」
夫婦の離婚により、家族がバラバラになる日の話。

第二章 「タキオン作戦」
父親から虐待を受けている子供を助ける話。

第三章 「検問」
政治家の愛人を拉致した犯人が、別件で検問にあう話。

第四章 「小さな兵隊」
問題児の岡田君の話。

第五章 「飛べても8分」
ボスと闘う男の友情の話。

 

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第一章から第五章を、時系列に並べてみる。


「小さな兵隊」
岡田が小学4年生のころの話。
  
「タキオン作戦」
溝口と岡田が、コンビを組んで裏の仕事をしていたころの話。

「残り全部バケーション」
岡田が、仕事を辞めたいと言い出すころの話。

「検問」
岡田と別れた溝口が、太田とペアで仕事をするようになったころの話。

「飛べても8分」
太田とも離れた溝口が、高田とぺアを組むようになって1年がたったころの話。


「小さな兵隊」から「飛べても8分」まで、20年ほどの時間が経過している。

 

 

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伊坂幸太郎さんのインタビューページ
2012年(平成24年)  集英社 青春と読書

 

 旧「紙飛行機文庫」に書いた「残り全部バケーション」の感想はこちらです。

 

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単行本  残り全部バケーション

出版社  集英社 
発売日  2012年12月05日

 

 

文庫本  残り全部バケーション (集英社文庫)    

出版社  集英社文庫
発売日  2015年12月17日