2009年9月2日「オーデュボンの祈り」(文庫本)を読みました。
感想 <オーデュボンの祈り>
初めて伊坂さんの本を読んだのが、この「オーデュボンの祈り」だった。
薦められて読んだ本だったけど、読後の感想は、「一体、この小説は何?」
というものだったと記憶している。
案山子が喋る・・・SFものなのか?
桜が撃つ、残酷な城山、案山子の殺人・・・ミステリーなのか?
現実にはない、仙台の沖にある荻島・・・非現実的なファンタジーものなのか?
とにかく、説明のつかない不思議な小説に出会った気分だった。
そして、今回、もう一度読み直してみた。
伊坂さんの小説を読んでいると、似たようなキーワードが出てくる。
生と死、音楽、絵、宗教、犬・猫・鳥・虫、政治、天気、システムエンジニア・・・など。
この「オーデュボンの祈り」は、伊坂さんのデビュー作だからなのか、
そのキーワードのすべてが網羅されているようで、再読すると、わくわくした。
「この島に欠けているもの」・・・これが一体何なのか。ずっと気になる。
最後まで、それが気になって仕方がない。
そして、ラストでそれがわかった時、なんと清々しい気持ちになれることか。
桜の「理由になっていない」という言葉。
城山には、最高の贈る言葉になったと思う。
あらすじ <オーデュボンの祈り>
主人公の伊藤は、人生をリセットしてみたいと思い、コンビニ強盗を試みるが失敗する。
そして、パトカーから逃げだし、気がついたら、荻島という鎖国状態の不思議な島にいた。
この島には、言葉を喋る案山子がいた。その案山子は未来が見えると言う。
しかし、島のすべての人間から信頼されていた案山子の優午が、ある日、殺される。
未来が見えていたはずの優午に、自分の死を防ぐことはできなかったのか、
という疑問とともに、一体、誰が優午を殺したのか。
伊藤
主人公・元システムエンジニア
優午
言葉をしゃべる案山子
日比野
伊藤に島の案内をする
轟
島の中で、唯一、外の世界へ出ることができる
桜
島の中で、悪事を働くと桜が拳銃で撃つ
田中
オーデュボンのリョコウバトの話をする
城山
残酷な警官
旧「紙飛行機文庫」に書いた「オーデュボンの祈り」感想はこちらです
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単行本 オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)
出版社 新潮社
発売日 2000年12月
文庫本 オーデュボンの祈り (新潮文庫)
出版社 新潮文庫
発売日 2003年11月