2014年10月04日「アイネクライネナハトムジーク」を読みました。
感想 <アイネクライネナハトムジーク>
「アイネクライネナハトムジーク」
この本の帯には、こう書いてあります。
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ごく普通の人たちが巻き起こす、小さな奇跡の物語。
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わたしには、伊坂幸太郎さんが奇跡を起こしてくれたように思いました。
あとがきによると、ミュージシャンの斉藤和義さんから作詞を依頼されたことから始まったという、「アイネクライネ」と「ライトヘビー」の2話。
そこから膨らんだ「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」の3話。
これらの5話は、すでに発表されているお話です。
そこに、最後の「ナハトムジーク」の書き下ろしが加えられたのが、この本です。
この6話目の「ナハトムジーク」が、伊坂さんが起こした奇跡だと感じるのです。
というのも、それまでの5話に出てくる登場人物のほとんどを登場させ、なおかつ、それぞれの話のエピソードを盛り込んで、うまーくうまーくつなげているのですから。
なんという収束力でしょう。ほんと奇跡です。ミラクルです。
読んだ後、ぜーんぶがつながっている感がすごく心地よくて、ほんわかした気持ちになったのですが、いざ、じゃ、誰がどうつながっていたかをきちんと説明せよと言われると、うーん、いろいろありすぎて・・・・答えることができません、となります。
そこで、紙に書きだしてみようとトライしてみたら、これが、もう迷路のような、パズルのような、どうしてもひとつの絵にならないのです。
そうなると余計に意地になってしまって。うふふふ。
登場人物の相関図を作ってみました。よかったらご覧くださいませ。
「アイネクライネナハトムジーク」登場人物の相関図はこちらです。
一部、わたしの想像も含まれておりますので、その点はご容赦ください。
愉しいお話をありがとうございました。
伊坂幸太郎様。
あらすじ <アイネクライネナハトムジーク>
「アイネクライネナハトムジーク」
モーツァルトが作曲した作品の中でも有名な「小夜曲」をドイツ語で、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と言います。
直訳すると「ある、小さな、夜の曲」です。(P27より)
「アイネクライネ」の中で、織田由美が、「出会いとは、後で思い返してわかるもの」だと言います。
それは、小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいだと。
この本は、6編の短編が収録されています。
それぞれ「出会い」がキーワードになっています。
恋の相手だったり、結婚相手だったり、5年に一度会う人だったり、復讐の相手だったり、懐かしい昔の恋人だったり。
この出会いがあってよかった、登場人物たちは皆、そう思っていることでしょう。
そういうお話でした。
「アイネクライネ」
マーケットリサーチ会社の佐藤が、街頭アンケートをする話
「ライトヘビー」
美容師の美奈子が、客の香澄から弟を紹介される話
「ドクメンタ」
5年ごとの自動車運転免許の更新で、藤間が毎回、同じ女性と出会う話
「ルックスライク」
朱美が、いつか自分がサプライズをする側になってみたいと思っていた話
「メイクアップ」
高校時代にいじめられていた結衣が、いじめっ子に再会する話
「ナハトムジーク」
中学生が、ボクシングの元チャンピオンを応援する話
旧「紙飛行機文庫」に書いた「アイネクライネナハトムジーク」の感想はこちらです。
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単行本 アイネクライネナハトムジーク
出版社 幻冬舎
発売日 2014年9月26日
文庫本 アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
出版社 幻冬舎
発売日 2017年8月4日
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